EVの課題解決こそ部品メーカーの針路

 「EVではサーマル(熱)マネジメントが大事なんですよ」。日本電動化研究所の和田憲一郎社長がこんな解説をしてくれました。実はEVの電池で動力向けと並んで電気消費量が大きいのが暖房。ガソリン車ではエンジンの排熱を利用できましたが、EVではできません。そんな中、革新的な装置を開発したのがあの米テスラです。

 2020年からテスラ車に載っていますが、装置の特徴は主に2つ。一つはこれまで活用していなかったバッテリーやeアクスルと呼ばれる駆動装置からの排熱を再利用したり、極寒時にバッテリーの電解液を暖めるためだけに使えたりと一騎当千の働きをすること。もう一つは、走行環境に合わせて無線通信で装置の機能をアップデートできることです。和田さんがどのサプライヤーからの提案か調べたところ、テスラ自身が16年11月に特許出願していました。

 今号の第2特集ではEV対応を急ぐ自動車部品メーカーを追いました。EVならではの課題解決に知恵を絞らなければテスラのように中核部分まで握られてしまい、生き残る道は狭まってきます。

(上阪 欣史)

日経ビジネス2022年1月31日号 124ページより目次
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