包容力で時代築いた中興の祖

 今号の特集は「中興の祖ランキング」。1990年以降の在任期間中に時価総額をどれだけ引き上げたかが基準ですが、もちろん経営者の成果はそれだけでは計れません。「なぜあの人が入っていないの」など酒のつまみになる話を提供できれば幸いです。

 特集のきっかけは、昨年相次いだ大物経営者の引退です。スズキの鈴木修さん、富士フイルムホールディングスの古森重隆さん、経団連会長退任直後に亡くなった日立製作所の中西宏明さん。一時代を築いた名経営者の引退は、「失われた30年」が続いた平成の時代が終わったことを感じさせます。

 ランキング上位になった信越化学工業の金川千尋さんやダイキン工業の井上礼之さん、武田薬品工業の武田国男さんら何人かの経営者には、駆け出し記者の頃に取材したことがあります。共通するのは、私の不勉強を見透かすかのような目力と、この人の下で働いてみたいなと思わせる愛嬌(あいきょう)です。

 孫正義さんや永守重信さんら創業経営者のある種、狂気じみたカリスマ性とは違った包容力を「中興の祖」と呼ばれる経営者から感じます。改革を成し遂げるのに最も重要な資質なのかもしれません。あなたの会社の中興の祖は誰でしょう。

(磯貝 高行)

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