文革から半世紀の分配政策
「政治は血を流さない戦争であり、戦争は血を流す政治である」(毛沢東)
「黒い猫でも白い猫でも、ねずみを捕るのが良い猫だ」(鄧小平)
歴史上の人物の言葉は、その人の考えや行動を最もよく表す言葉が残るものです。文化大革命という政治闘争で復権した毛沢東と、改革開放を進めた鄧小平。2人に並ぶ権威を手にした習近平国家主席は、どんな言葉を歴史に残すのでしょう。
「共同富裕」を掲げて社会主義路線への回帰を進める習氏。背景には急速に広がる貧富の差があります。中国で上位1%の富裕層が持つ富は全体の約30%で、格差問題が深刻な米国と同水準。しかも2000年からの20年間で10ポイントも上昇しました。行き過ぎた資本主義の修正が、大企業や富裕層への締め付けと強権的な分配政策につながり、半世紀前の文革を想起させます。
翻って日本。22年は日中国交正常化50周年にあたりますが、岸田文雄首相は中国と時を同じくして経済成長のための「新しい資本主義」と「分配」を掲げます。こちらは言葉が上滑りしているような気がしてなりませんが。
(磯貝 高行)
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