脱炭素で国際競争力を生み出せるか

 人類が地球上で水に次いで多く用いている素材は何でしょうか? 答えは「コンクリート」。現代建築に必須の部材ですが、近年は社会から厳しい目が向けられています。コンクリートを構成するセメントは1400度以上で焼成する必要があり、製造過程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出するからです。セメントの世界生産量は41億トンに達し、世界のCO2排出量の約8%を占めるほどになっています。

 2050年の脱炭素社会実現が叫ばれる昨今、コンクリートを大量に使う建設業界は根本から技術を見直しています。第2特集では環境技術の革新に本腰を入れるゼネコンを紹介しました。例えば、CO2を回収・固定した炭酸カルシウムを用いる大成建設の「カーボンリサイクル・コンクリート」は、建物を建てるほど街にCO2を封じ込めます。普及が期待される木造建築も、全遺伝情報(ゲノム)解析で強靱(きょうじん)な木を育成する段階から研究しています。

 日本の建設は地震などの防災を優先させて技術開発をしてきました。しかし、災害の多い日本固有の技術であったことは否めません。脱炭素は世界共通の課題です。ここで革新的な技術を生めば、建設各社の国際競争力になると見ています。

(江村 英哲)

日経ビジネス2021年12月13日号 108ページより目次

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