人ごとではない人材DX

 英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授は論文『雇用の未来』の中で「今後20年で米国雇用者の47%の仕事がコンピューターに奪われる」と指摘しました。ITの進化や人工知能(AI)の普及で、銀行の窓口係や電話販売員だけでなく、通訳や税理士すら消えるかもしれません。

 すでにITに置き換えられてなくなった仕事も多くあります。例えば証券取引所の立会場で、手ぶりで株式の銘柄注文を出していた「場立ち」。タイピストなどの仕事もかつてはありました。

 一方、新しく生まれた職業もあります。ユーチューバーや動画クリエーターのほか、コロナ禍で急成長したフードデリバリーの配達員など。いずれもコンテンツやサービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)が生み出した仕事です。

 今号の特集は「DX人材の作り方 リスキリングで成長再び」。DXが進むにつれて増える余剰人材のスキルをアップデートしていかなければ企業は衰退の道を歩みます。小誌編集部も紙の雑誌だけでなく電子版編集のスキル向上に力を注いでいます。20年後にも「日経ビジネス」が存在するよう、私を含め編集人材のDXを急ぎます。

(磯貝 高行)

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