航空2社 再生競うステージに
わずか1年で売上高が3分の1になる恐怖とはどれほどのものなのでしょう。ANAホールディングスと日本航空(JAL)の2021年3月期の連結売上高は前期比でそれぞれ6割強落ち込みました。今号の特集は「ANA・JAL 苦闘の600日」。コロナ禍により日本の空の景色は一変しました。
世界に目を転じると、ヴァージン・オーストラリア航空やタイ国際航空が経営破綻し、独ルフトハンザは約1兆円の公的支援を受けました。韓国では政府主導でアシアナ航空と大韓航空の統合が決まりました。一方、海外勢と比べて財務基盤が強固なANAとJALは自力再建に取り組んでいます。
昨年、菅義偉前首相のブレーンだった竹中平蔵氏がANAとJALの統合論を提唱し、再編論議が活発になった時期があります。ANAの首脳にこのことを聞くと「その気があるならJALが破綻した10年前に一緒になっていた」と一蹴。JALの赤坂祐二社長も7月の編集長インタビューで「利用者の観点からやってはいけない」と述べています。
水と油、犬猿の仲、氷炭相いれず……。産業界でも稀有(けう)なライバル関係は、コロナ禍からの再生という新たな競争の段階に入ります。
(磯貝 高行)
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