脱炭素市場争奪 まだ序盤戦
10月31日から英グラスゴーで開かれる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)。石炭火力の廃止を打ち出せない日本は厳しい立場に立たされそうです。2019年のCOP25では国際環境NGOから不名誉な「化石賞」を受賞しました。
「環境後進国」という言葉が定着した日本ですが、かつては世界が認める「環境技術先進国」でした。ノーベル化学賞の吉野彰・旭化成名誉フェローが発明したリチウムイオン電池は、ソニーが世界で初めて実用化。三洋電機(現パナソニック)、シャープ、京セラなど関西企業が太陽電池で世界をリードしていました。
しかし脱炭素市場が急拡大した過去10年間、日本企業が強かったこの分野は中国や欧米企業の破壊的イノベーションに席巻されました。ソニーは17年にリチウムイオン電池から撤退。パナソニックは21年度中に太陽電池の生産から撤退します。
それでもまだ逆転のチャンスはあります。吉野彰さんが先日、弊誌イベントでこう話しています。「世界はまだ脱炭素を実現する手段を見いだせていない。それを見つければ世界中から称賛され、大きなビジネスにつながる」。まだ序盤戦です。
(磯貝 高行)
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