最強のマーケターの価値観
「マーケティングとは価値観だ。顧客に伝えるべきは商品の性能や他社より優れている点ではなく、我々が何者で、何のために存在しているかだ」
1997年、スティーブ・ジョブズ氏が倒産の危機にひんしていた米アップルに復帰し、新しいマーケティング戦略を打ち出した時の言葉です。「アップルはブランドを取り戻さなければならない」。この時の15分間のスピーチは、世界のマーケターにとって伝説になっています。アップルはその後、iPodやiPhoneを世に送り出し、大復活を遂げます。
今号の特集は「勝ち組企業のCMOが選ぶ 最強のマーケター」。主要企業37社のマーケティング責任者が選ぶ「マーケティングに革新を起こした経営者」のランキング1位はジョブズ氏でした。表紙タイトルを借りれば「最強のマーケター」です。
マーケティングという言葉は日本ではかつて「市場調査」と同じ概念で語られていました。しかし市場調査嫌いのジョブズ氏は「顧客が何を望むか、それを顧客本人より早くつかむのが我々の仕事だ」と言い切ります。「人々はみんな、実際にそれを見るまで、それが欲しいかなんて分からないんだ」。マーケティングの奥深さを感じます。
(磯貝 高行)
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