DX、守りから攻めへ転換を

 DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を初めて提唱したのは2004年、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授です。「デジタル技術で人々の生活が根底から変わる」という論文ですが、04年といえばまだ米フェイスブックが創業し、米グーグルが株式公開したばかりでした。

 その後、DXという言葉は17年ごろから人口に膾炙(かいしゃ)し始めます。時を同じくして流行した言葉が「アマゾン・エフェクト」。今号の第2特集で取り上げた米アマゾン・ドット・コムのネット通販事業の急成長で小売業界が淘汰され、経済・社会に大変革をもたらしました。ストルターマン教授のいうDXが実証された象徴的な事例です。

 いま世界中の企業がデータを活用してビジネスモデルを転換する「攻めのDX」にまい進しています。一方、日本ではコロナ禍を受けた働き方改革や基幹システムの老朽化問題もあって、デジタル技術を業務革新につなげる「守りのDX」の話題が中心です。

 今号の第1特集は「乗り越えろ DX10の壁」。国も企業もアナログ型の仕事を変革するには、高い壁がいくつもあります。その壁を乗り越え、攻めのDXへの転換を急ぎたいものです。

(磯貝 高行)

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