「皆がマイナス思考に陥っているときにこそ、違う視点から市場を見つめ、大胆に行動することこそがマーケティングの真骨頂である」。現代マーケティングの父といわれるフィリップ・コトラー氏の言葉です。

 コトラー氏によればマーケティングは時代とともに変化し、現在は消費者の自己実現の欲求を満たすことが重要になっているそうです。消費者のニーズを探って他社より良いものを安く売る、といった従来の勝ちパターンでは足りず、変化の激しい時代には時に逆転の発想が必要かもしれません。

 今週号の特集は「普通じゃ売れない~儲かる非常識」です。マーケティングの定石とされる従来の打ち手を変え、異端ともいえる売り方で成功しているケースを数多く紹介します。

 マニュアル化と画一化による多店舗展開で規模の経済性を追うチェーンストア理論の常識を疑い、店ごとにメニューや価格を変える中華料理チェーン。長年培ったブランドの顔を捨て、パッケージレスで勝負する緑茶飲料。共通するのはコトラー氏のいう「違う視点と大胆な行動」です。

 今では常識になっている手法も、かつて非常識だったケースは多々あります。例えば「ユニクロ」は高級ブランド全盛だったバブル期に低価格のカジュアル衣料を郊外型店舗で売る逆張り戦略で成長しました。今週号のスペシャルリポートに登場するワークマンも、作業服を機能性ウエアとして一般消費者に売る非常識が成功につながりました。特集を読んで新時代の常識を探ってみてください。

日経ビジネス2021年9月6日号 7ページより目次

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