8月8日に閉会した東京五輪。いまだに「五輪ロス」が抜けない私ですが、今大会を振り返ると「性」についてこれほど注目された五輪は過去になかったように思います。

 女子重量挙げにトランスジェンダーの選手が出場し、女子サッカーではメダルも獲得しました。米メディアによると、東京五輪でLGBTQ+(性的少数者)を公表する選手は182人と過去最多で、金メダル数で国別7位に匹敵するそうです。

 これに対して「元男性が女性競技に出るのは不公平」、「五輪憲章はいかなる差別にも反対している」といった賛否両論が世界中で巻き起こりました。いずれにせよ、10人に1人とされる性的少数者とその権利に光が当たったことは画期的でした。

 ひるがえって日本。大会期間中、野球解説者が女子ボクシングに対して「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴りあって」と発言し、テレビ局が謝罪。大会前には組織委員会の会長だった森喜朗氏が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」と発言し、内外の批判を浴びて辞任しました。

 性的少数者の議論どころか、あいかわらずの女性蔑視発言の繰り返しは、この国のジェンダー意識の低さを物語っています。2021年版「ジェンダーギャップ指数」で日本は156カ国中120位。五輪でいえば、本大会に行けない予選落ちのレベルでしょう。

 今号の特集は「あなたの隣のジェンダー革命」。東京五輪パラリンピックが掲げる「多様性と調和」をお題目に終わらせてはなりません。

日経ビジネス2021年8月23日号 7ページより目次

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