問題:JTB、スカイマーク、毎日新聞社、回転ずしチェーンのカッパ・クリエイト。それぞれ業種の違う4社に共通する企業分類は何でしょう?

 答え:「中小企業」

 新型コロナ禍の影響が長引く中、資本金を1億円以下に減資して「中小企業」になる大企業が増えています。中小企業なら様々な優遇措置を受けられるからでしょう。例えば赤字企業にも一定の税負担を求める外形標準課税が免除されます。2015年に1億円への減資を経営再建策に盛り込もうとしたシャープは世論の批判で断念しました。

 もちろん中小企業になることに法的な問題はありません。ただ素朴な疑問が生まれました。「優遇策を受け続けるために大きくならない中小企業が日本にどれだけあるのだろう?」。日本の全企業数の99.7%は中小企業。手厚い保護政策が多くの中小企業の成長意欲を奪っているのかもしれません。

 今週号の特集は「中小企業」がテーマです。技術力はもちろん、グローバル化や人事活用策でも大企業に負けない中小企業が日本には数多くあります。共通するのは成長への高い意欲です。

 菅政権下で日本経済の生産性を向上させるために中小企業を統廃合すべきだという議論が進んでいます。それ自体に異論はありません。しかし一律に「中小=弱者」という固定観念から再編を促すとすれば、成長の芽を摘むことになりかねません。

 必要なのは独自性を伸ばしながら強い中小企業を育てる産業政策です。世界のどんな一流企業も初めは中小企業だったはずです。

日経ビジネス2021年7月5日号 7ページより目次

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