ドラえもんのキャラクターに例えると「米国のトランプ前大統領はジャイアン、バイデン新大統領は出木杉君」(秋田浩之・日本経済新聞コメンテーター)なのだそうです。さしずめ日本はのび太君でしょうか。

 ガキ大将のトランプ時代の米中貿易戦争では、根拠がよく分からないまま華為技術(ファーウェイ)など中国製IT機器を市場から排除し、追加関税の報復合戦という泥沼を演じました。ただ手法は乱暴でも、自国の産業保護という分かりやすさがありました。

 一方、バイデン政権は今年2月、半導体など4品目で中国に依存しない調達体制を同盟国と築く大統領令に署名。日米首脳会談、主要7カ国外相(G7)の共同声明で台湾海峡問題を明記し、これまでバラバラだった西側の足並みをそろえました。学級委員長タイプの出木杉君による冷徹な対中包囲網です。

 台湾は世界の半導体生産の6割強を担う急所で、台湾海域は日本の船舶が行き交う要衝です。「台湾有事」は世界経済の最大のリスクになります。

 今週号の特集は「サプライチェーン新秩序」。コロナ禍に端を発した世界的な半導体不足が、米中新冷戦時代のサプライチェーンの課題をあぶりだしました。さらに新疆ウイグル自治区での人権侵害問題は、SDGs(持続可能な開発目標)に配慮した調達網という宿題を企業に課しています。

 中国に製造拠点や原料、資源を依存する日本は、新秩序の中でサプライチェーンをどう再構築するかを真剣に議論する時です。困った時のドラえもんはいません。

日経ビジネス2021年6月7日号 7ページより目次

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