「今度は“禁酒法”ですよ……」。東京都に緊急事態宣言が適用された4月25日、数日後に予約していた居酒屋にキャンセルの連絡を入れると、店員のあきらめともつかない一言が返ってきました。政府は宣言を発令した地域で酒類を提供する飲食店に休業を要請しました。体温計測やアルコール消毒、アクリル板の設置など感染対策を徹底してきた飲食店にとって、やりきれなさが募っています。

 日本フードサービス協会の3月度調査では、「パブ・居酒屋」の対前年同月比売上高は39.7%減。コロナ禍の影響がなかった2019年同月と比べると67.9%減と壊滅的な数字です。帝国データバンクによると20年の飲食業の倒産件数は780件と過去最高を記録しました。

 今週号の特集は「負けるな外食」。コロナ禍という氷河期を生きる企業や人々を描いています。取材した彼らに共通するのは、環境の激変をただ嘆くのではなく、業態やサービスを進化させて次の時代に生き残ろうとするたくましさです。

 そしていつかお客さんは戻ってきます。「外食の楽しさ、喜びといったものを皆さんが改めて発見しているのではないでしょうか」。インタビューしたロイヤルホールディングスの黒須康宏社長の言葉が印象に残ります。

 飲食店を表す英語「Restaurant」は、元気を回復させるという意味のフランス語「Restaurer」が起源だそうです。人々の元気を回復させる産業が壊滅していいはずはありません。負けるな外食。

日経ビジネス2021年5月10日号 7ページより目次

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