大学生に切実な問題が発生しています。勉強そのものはオンライン化で場所や時間の制約が薄れ、むしろ効率的になったとの声があります。困ったのは、新しい仲間との出会いが少なくなっていること。特に男女の出会いが深刻です。若い会社員も同様でしょう。

 2020年の日本の出生数は84万〜85万とみられます。16年に100万を切ったばかり。今年は80万を割るともいわれています。婚姻数も前年比で2桁減のペース。若者の出会いが減っていることを考えると、これまでとはまた次元の違う超少子高齢化時代に突入する覚悟を持つ必要がありそうです。

 今号の特集は「70歳定年」。財政問題を放置した超少子高齢化時代は「高齢だからリタイアする」という選択肢がますます選びにくくなってきます。働かなければ生活できないということは貧しくなったということでしょう。

 緩やかな貧困化とともに、2つの格差が静かに進んでいきそうです。一つは社会全体での貧富の格差。政府は財政を維持するための財源を、確実に捕捉できる会社員に安直に求めがちです。世界のあちこちで見られる中間層の没落に少しずつ近づく恐れがあります。

 もう一つは企業内格差。総人件費が変わらなければ、定年延長のための原資確保には現役世代を減額する以外にありません。成果給の色を強めるか新卒採用の抑制が現実解となるでしょう。

 少子化は放漫財政の犠牲になる若者による無言の抵抗のようにも見えてきます。一つの救いは、ニューノーマルの形を作っていくのは私たち自身であることです。

日経ビジネス2021年2月22日号 7ページより目次

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