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 中学時代からの親友は高校を出て職を転々。ホームレス同然の生活の後、地方の建設会社の住み込み作業員となりました。そこで現場監督に「この工程は効率が悪い」「こうすればもっと速くできる」などと意見しているうちに、監督代行に。仕事ぶりを見た取引先などから独立を勧められ、若くして施工会社を立ち上げました。

 かつて、フランスの英雄ナポレオンは「才能のある者は、どんな足かせをはめられても飛躍するものだ」と言ったそうです。

 あのナポレオンも生まれ育ったコルシカ島を離れ、9歳でフランス本土の学校に通い始めたころには周囲の子供たち以上に苦労をしていたようです。そもそも裕福ではない家庭に育ち、コルシカなまりの強い下手なフランス語しか話せない。そのうえに小柄だったために、いじめとホームシックに悩んだといいます。

 軍に入ってもパッとしない日が続き、勉学は欠かさなかったものの、勤務しているよりも休暇をとってコルシカに帰っている日が多いほど。しかし、24歳。南仏トゥーロンの戦いで砲兵隊長を任されると、一気に才能を開花。司令官も反対した奇襲を成功させ、そこから英雄への階段を駆け上ります。

 今号の特集は「新入社員」。疫病による働く環境の変化で、新社会人は戸惑っていることでしょう。対面の機会が減り、成長や評価に影響が出るかもしれません。でも、大丈夫。お天道さまは見ているようです。意欲さえあれば、力はどこかで花を開くはず。新人に限った話ではありません。

日経ビジネス2020年11月9日号 9ページより目次