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 NTTがNTTドコモを完全子会社にします。会社を設立した1990年代前半は先行きが見えなかったドコモ。グループ人事を担当していた幹部は「ドコモへの異動を言い渡すのが嫌だった。説得が大変でよく恨まれた」と振り返ります。国を支えていた本体からの異動は島流しのように思われていたのです。

 古巣への怨念をエネルギーに躍進し、独立を志向するドコモとグリップを強めようとするNTT。2013年にソニーとサムスンを重視するツートップ戦略で他メーカーの望みを断つ失敗をし、持ち株からiPhone導入を命じられたところで首根っこを押さえられました。

 10年以上前にNTT幹部は「ドコモのシェアは現状の6割から4割程度に下げる」と話していました。過半のシェアでは、分割された固定と同様に規制に縛られる。当時から「ドコム」と呼ぶNTTコムとの統合構想が噂されていました。次は重複が問題になってくるNTTデータをどう扱うか。

 巨人の復活を恐れる声はありますが、海外の巨人に対抗する国内勢力は不可欠。デジタルインフラは最先端のサービスの孵化器として日本の競争力を左右します。ただ、NTTは歴史的に巨大な力に安住し天動説に偏りがち。新しい競争環境で、どうやってこの国に貢献してもらう絵を描くか。

 巨大化で生まれる力が自社の利益に向かうのではなく、顧客や社会に活力を呼ぶエネルギーに使われなければ、社会的な意味がありません。今号の特集は「ヒットの法則」。日本からヒットが出る鍵をNTTが握っているという自覚は必要です。

日経ビジネス2020年10月12日号 7ページより目次