100円均一で人気のダイソーは2001年に海外展開を始め、わずか20年で20カ国以上に2000店超を出店しました。海外でも親しまれる低価格均一のビジネスモデル。実は、三越と双璧を成す高級百貨店の高島屋が100年近くも前に始めていました。1926(大正15)年、現在の価値で数百円程度の「10銭均一」の売り場を設け、一時は数十店規模でチェーン展開しています。

 百貨店の歴史は挑戦の歴史です。世界で初めて定価販売を始めた三越は「店頭」での「現金払い」で呉服の世界に価格破壊を起こすと、1904年に「デパートメントストア宣言」を定め、呉服専業からの脱却を進めます。各社が追随しますが、1920年代には戦後不況に陥り、さらに関東大震災、昭和恐慌へ。すぐに苦境に立たされます。

 各社が顧客とした富裕層の財布のひもが締まる中、もう一度業態転換に挑みます。廉価な大衆向け生活用品を販売する大衆化路線への転換。これは大量販売への転換を意味し、現在のような大型店舗化への転換につながります。

 今の「百貨店」の形になったのは1930年代とされます。三越の宣言からわずか30年ほどの間に何度も「過去」を捨ててたどり着いたのです。

 今号の特集は「百貨店」。かつてほどの輝きはなくなってきました。右肩上がりの坂を上り切って、進むべき道が見えにくくなった百貨店は日本の写し絵のようです。同じような状況にある業種も多いのではないでしょうか。

 見えなくても道は続きます。先人たちのように踏み出すしかありません。

日経ビジネス2020年8月24日号 7ページより目次
まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「編集長の視点」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。