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 「選択誤った。聞いていたのと違う」

 こんな悲鳴を上げている大学生が少なからずいるようです。新型コロナウイルスの影響で講義がオンライン化され、楽に単位が取れる「楽単」と言われていた科目に異変が起きているのだとか。「出席するだけで単位がもらえた」「出席しなくても最後にリポートを一度出せば単位が取れた」はずなのに、毎回受講がチェックされ、テストや課題が出される……。

 デジタル技術を使えば、先生側の工夫次第で講義やそれに付随する作業は大幅に効率化できます。面倒だった出欠や試験管理も簡単。裏を返せば、いかに学校教育が非効率だったかをコロナはあぶり出していると言えます。

 インターネットを核としたデジタル技術は時間と空間と労力の制約を取り払う威力を持っています。これを機に大学でまかり通るおかしな常識を見直してはいかがでしょう。受けたい講義なのに定員制限で抽選に外れる。集中して学びたいのに週に1度しか講義がない。一人暮らしできる財力がないと地方の若者は大学には入れない──等々。どれも供給側の都合の問題です。

 デジタル技術を使えば、社会人も含め国境をも超えた幅広い人に門戸を開いたり、4年間で複数の学部で学位を取得したりといったことも可能になるでしょう。経済学では伊藤元重先生の本を教科書とする大学も多いようですが、どの大学でも伊藤先生の講義を受けられるようにすれば、効率化と競争を促すことにつながるかもしれません。

 今号の特集は「東京大学」。東大流の変革が始まっています。

日経ビジネス2020年6月8日号 7ページより目次