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 危機に人間の本性が表れるように、物事の本質も垣間見えるものかもしれません。

 「買い物は3日に1回程度に」との呼びかけを受けた週末。近所のスーパーをのぞくと、レジにはなお行列がありました。新型コロナウイルスの影響で日本中の外食・給食がなくなったと考えると、いつもより混むのは当然ですが、依然家族連れも多いようでした。

 全国スーパーマーケット協会は4月10日のツイッターに「スーパーは遊び場、レジャーランドではありません」と書き込みました。楽しみを失った市民の行動を鋭く言い表しています。一方でこの注意喚起は平時には気づかなかったスーパーの「価値」を図らずも言い表しているように思います。

 スーパーは食料品などの生活必需品を手に入れる場所ですが、それとは別のレジャーランドとしての価値です。同じ商品の中から良いものを選ぶ、並んだ品から季節を感じる、値段の変化に一喜一憂する……買い物カゴ一つで、できるだけ安く、できるだけ満足する「ゲーム」を楽しむ。最も身近なレジャー施設の側面がもともとあったのではないでしょうか。その本質的な価値を磨く店づくりができればネット通販との違いはおのずと生まれそうです。

 とはいえ、今は非常事態。レジャーよりも生命線としての役割を果たしてもらわないといけません。さて、今号の特集は「お店」。私たちの命を守ってくれているのは医療従事者だけではありません。お店もその一つ。見回せば至る所にヒーローはいます。拍手を送りましょう。

日経ビジネス2020年5月4日・11日号 7ページより目次