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 近年にこれだけ出口の見えない逆境があったでしょうか──。オイルショック、バブル崩壊、リーマン・ショックと幾度となく経済危機がありました。しかし、今回の新型コロナウイルスによる危機的状況は、世界に広がる影響規模と先行きの不透明さがこれまでとは異質です。連日報じられる各国の首相や大統領の切羽詰まった表情が異常な事態にあることを物語っています。

 過去100年の主要国のGDP(国内総生産)の推移を眺めてみるとこれまでの経済危機がどれほどのインパクトだったかが感覚的に分かります。折れ線グラフにすると概ね右肩上がり。ここ50年ほどは加速しているように見えます。その中で先に挙げたオイルショックやバブル崩壊、リーマン・ショックは少しくぼんでいる程度で極々小さなつまずきにすぎなかったことが分かります。

 より明確なくぼみとなっているのは第1次大戦と世界恐慌。そして最大は第2次大戦です。これらに比べると戦後の危機の影響は軽微です。国連や主要国首脳会議など世界が協力して混乱を抑える仕組みが機能してきたからではないかと推測できます。しかし、ここにきて国際協調は揺らぎ、コロナが分断を後押しする懸念もあります。

 第2次大戦で日本のGDPは4割減り、鉱工業生産は5分の1になりました。コロナとの戦争の影響はどうなるでしょう。これまでの戦後の経済危機とは違い、むしろ「焼け野原」のような状況になってしまうかもしれません。しかし、100年の折れ線グラフは示しています。私たちの歴史は危機から立ち上がる歴史だと。

日経ビジネス2020年4月6日号 7ページより目次