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 20年にわたり米GEのトップを務め、20世紀最高の経営者と言われたジャック・ウェルチ元会長が3月1日に亡くなられました。

 官僚的なGEの社風を嫌い、市場で1位か2位以外の事業を捨てる「選択と集中」、品質改善運動の「シックスシグマ」、後のインダストリアル・インターネットにつながる「Eビジネス」など数々の変革を推進したジャック。 頭脳明晰(めいせき)で剛腕、冷徹なイメージを持つ方もいるようですが、とても人間味あふれる方です。

 大学に通うために一人暮らしを始めた時はホームシックとなり母親に励まされ、173cmの身長を4cmもサバ読み、後退していく髪の毛を気にもします。リストラを進めたため、建物だけ残して人を切る「ニュートロン(中性子爆弾)ジャック」というあだ名をつけられた際は「大嫌いで傷つきもした」と言います。普通の人間です。

 そんなジャックが「すべての勝利者に共通の性格」として挙げるのは「情熱」。誰にも負けない仕事へのこだわりです。

 「変化を支持する者はいない。それが革命だと意識されればなおさらだ」と自伝で振り返っています。支持してくれる人がいなくても、より高みへと向かう変革を追求する情熱が普通の人間を変え、会社を変えていくのでしょう。

 特集は「DX」。デジタルによる企業経営のパラダイムシフトです。その先兵だったはずのGEはジャックが退任した後、長らく苦戦しています。変革は続き、終わりはありません。情熱は足りているでしょうか。

日経ビジネス2020年3月30日号 7ページより目次