人はなかなか変われないものですが、組織となるともっと厄介です。将来のビジョンを共有できているかどうかが大事になってきます。

 携帯電話にカメラ機能が付いた2000年ごろ。精密機器メーカーに「将来はカメラの需要に影響を与えるのでは」と尋ねたところ、「あんなオモチャのような画質で本物のカメラの需要を置き換えられるはずはない。携帯のスペースも限られていて画質向上も難しい」と言われました。不勉強な記者に諭すような言い方で、全くカメラ付き携帯など眼中にない様子でした。

 00年に1000万台を超えたデジタルカメラの出荷台数は5年後には約6500万台へと急激に拡大する最中でした。iPhoneが発売された07年ごろにももう一度尋ねましたが、この時も「何をばかなことを」という態度をとられました。その後、10年の1億2000万台超にまで出荷台数は拡大していきます。

 しかし、それからは機能を高めたスマホに圧倒され、18年は10年の6分の1にまで急減してしまいました。

 どの業種も例外ではありません。当事者は目先の収益を伸ばす戦術に目が行き、その事業が永遠に続くかのように思いがち。大きなトレンドを見て別の製品やサービスに飛び移る戦略がおろそかになりがちです。パソコン需要の減少に正対せず、目先の収益確保に「チャレンジ」するため不正会計を余儀なくされた東芝などは典型例でしょう。

 今号の特集は「2020年の展望」。先入観を取り払って将来を見てみましょう。何を変えるべきかが見えてくるかもしれません。

日経ビジネス2019年12月23日・30日号 9ページより目次

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