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 特集は「100年後も強い企業」。長寿企業と聞くと金剛組を思い浮かべる方も多いでしょう。578年に創業した世界最古と言われる建築会社。聖徳太子が四天王寺の建立を命じたのが始まりとされます。「一度倒産した」と記憶している人もいるかもしれません。しかし、39代当主の金剛利隆さんは著書の中で「倒産は誤解」と強く反論しています。どうなっているのでしょう。

 金剛組が深刻な経営危機にあったのは2005年前後。支援企業として高松建設が営業譲渡を受け、経営再建に乗り出します。その際、新たに「金剛組」を設立しそれを受け皿会社としました。事業や人材をそこに移したわけです。約40億円の負債を抱えた「旧金剛組」は自己破産しました。

 「倒産」に厳密な定義はありませんが、一部世間の認識と金剛さんが食い違うのは、会社を器として捉えているか、その中身こそが会社と捉えているかの違いのように見えます。「会社」も法律こそありますが、「会社とは何か」という捉え方には明確なものはありません。

 会社を定義するなら「利益追求を目的とした組織」でしょうか。しかし、宮大工集団として金剛組が追求しているのはまず日本文化を守り抜くことでしょう。世のため人のために役に立つ。その結果が利益。という順番ではないでしょうか。

 金剛組の歴史は世の役に立つことを追求すれば器は変われど事業が途絶えることはないことを示しています。会社は往々にして器を守ることや大きくすることを追求しがちですが。

日経ビジネス2019年12月9日号 9ページより目次