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 ある著名人が日本人の特性をおおむね次のように表しています。

 ①手先の器用さは驚異的②技術の高さはどの国の職人にも劣らない③他国から学びとろうとする好奇心とそれを自分流に応用する進取性を持つ──。

 日本企業の強さを分析する時によくこのような日本人の特性が挙げられます。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界市場を席巻していたころは特によくこれらの特性が語られ、日本人の「優秀さ」を誇らしく感じたものです。

 しかし、その特性ゆえに得意とされていたモノづくりで中韓勢に攻め込まれる現状を見ると、あの特性はどこに行ったのかという疑問が浮かんできます。特性は後付けの理屈で、そもそも特有ではなかったのではないか、と。

 ところが日本人の特性は昔ながらのもののようです。冒頭の「著名人」とは日本に開国を迫ったあのペリー。19世紀半ばには現代の私たちがイメージする特性を日本人は持っていたのです。彼の『日本遠征記』に記しています。

 そしてペリーはこう予言しています。「文明世界の今日までの蓄積をひとたび手にすれば、日本人は強力な競争相手として将来の機械的技術の競争に仲間入りするであろう」

 今号の特集は「現場力」。人手不足や非正規社員の増加などで日本が誇る現場がきしみ始めています。しかし、自信を失う必要はありません。日本人はペリーも驚く特性を持っています。「予言」は過ぎ去った栄光ではなく、これからの活躍を示しているのかもしれません。

日経ビジネス2019年10月21日号 11ページより目次