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 関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受領していたことが問題になっています。非常識な行為で、発覚すればエネルギー政策にも影響しかねないことぐらいは関電の立派な幹部が分からないわけはありません。それでも受領せざるを得ない要因があったということでしょう。1995年のある出来事を思い出しました。

 7月のこと。1月に起きた阪神大震災で倒壊した高速道路の復旧工事を巡り、大手ゼネコンが談合している疑いがあると朝日新聞がスクープします。私はその朝刊を握って関電の幹部の自宅に向かいました。巨大な電力ネットワークの資材調達や工事を握る関電は関西財界では圧倒的な存在で、文字通り関西の元締め。様々な経済事案に関わったり情報を握ったりしていました。訪問した幹部はそうした事案に目を光らせる役割をしていました。

 私が「事実ですか」と聞くと、朝刊にある談合の「星取表」をしばらく眺め「全部合うてるが、談合はあかんか?」と尋ねてきました。そして続けてこう言いました。「談合がないと、仕事を回さないかんところに回せへん」

 動かしがたい社会の矛盾や暗部とどう折り合いをつけるか。とにかく前進を続ける戦後から高度成長期。前に進むために関電は「必要悪」を許容する組織にならざるを得なかったのでしょう。今回の事件は今の時代も変われていない社会と関電を浮き彫りにしました。

 さて、今号の特集テーマは「新・50代問題」。バブル期にタネがまかれたこの問題にもそろそろ決着をつけないといけません。

日経ビジネス2019年10月14日号 7ページより目次