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 「四国、九州も採りつくしました。あとは沖縄です」

 2008年のリーマン・ショックが起こる直前。人手不足が話題になっていました。主に製造業の工場に人材を派遣する会社に勤めていた知人は人集めに日本中を飛び回っていました。都市部や工場の近くではもう人を集められなくなり、どんどん地方に足を延ばします。そして、いよいよ沖縄県にまで人材確保の網は広がりました。

 リーマン・ショックの影響で、派遣された人材は雇用の調整弁として使われてしまいましたが、このところの人手不足で状況がどう変わっているのか、先日、その知人に会う機会があり、聞いてみました。

 「今どこで採用するか? 最前線はバングラデシュですね。開戦前夜という感じです」

 人手不足もステージが変わってしまったようです。かつての国内の派遣会社同士の採用競争から、今は製造業の国際的な採用競争の代理戦争をしているようだと。相手は中国、韓国企業だそうです。気になるのは戦況がかんばしくないこと。

 原因の一つは日本の現場では英語を受け入れる素地がないこと。経営の国際化が進んでいるとされる日本を代表する会社でも「現場の対応は遅れている」と知人は指摘します。「インドでは中韓に完敗。このままではバングラデシュでも危ない」と警鐘を鳴らします。

 今号の特集テーマは「外国人材」。少子高齢化に対応しようと制度の変更に乗り出した日本。受け入れる体制は本当に整っているのでしょうか。

日経ビジネス2019年8月19日号 7ページより目次