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 非上場の「隠れた」優良企業はまだまだあるものです。安売り競争が特に激しいイメージの家電量販店で売上高経常利益率が8%を超えるヨドバシカメラはそのひとつ。国内小売りの雄で、2019年2月期に過去最高益だったセブン&アイ・ホールディングスでも5.9%。同業のビックカメラやヤマダ電機が2~3%台ですからその強さは際立っています。

 今号の特集テーマは「再考・持たざる経営」です。ヨドバシカメラの特徴は「持つ経営」。本社や店舗は自社所有で原則賃貸物件には入りません。小売業の「持つ経営」といえばかつてのダイエーやそごうが思い出されますが、考え方が異なります。ダイエーなどは自社物件を担保に銀行から融資を受け、さらに規模拡大への投資に回す「足し算の持つ経営」あるいは「掛け算の持つ経営」。ヨドバシカメラは「引き算」です。

 今号の編集長インタビューに登場いただいた社長の藤沢昭和さんが「家賃を払うのがもったいない」と言うように同社の持つ経営は経費を減らすための措置。融資を受けるのも「金利がもったいない」と嫌います。

 不動産にしても資金にしても人から借りると自前より高くつくのは当然です。ただ、経営環境が変わった時のリスクを減らせるメリットがあります。保険をかけているようなものです。これに対し藤沢さんは「50年先を見て腹を据えてやっている」と言います。無駄な保険をかけず、つねに背水の陣のような真剣勝負で臨む。その事業への向き合い方こそがヨドバシカメラの強さでしょう。

日経ビジネス2019年7月8日号 7ページより目次