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 「この木なんの木 気になる木」でおなじみのCM。日立グループがテレビ番組「すばらしい世界旅行」のスポンサーになり1973年に始めた「日立の樹」です。ズラリと並ぶグループ会社の名前をながめていて「今後もこの体裁を続けるのだろうか」と疑問に思いました。登場するのは5月18日放送分で70社。このうち15社が売却の準備に入ったと噂される日立化成のグループ会社だったからです。

 これまでも日本コロムビア、日立工機などの名が一覧から消えていますが、今回は「日立御三家」の一つだけにインパクトは大きい。

 この10年、日立はリストラクチャリング(事業の再構築)にまい進してきました。グループの顔ぶれが変わるのは当然です。川村隆さんから中西宏明さん、東原敏昭さんへと社長が代わるなかでも、経営方針がブレないのが同社の強み。まだ全体で900ほどあるグループ会社を500程度に減らすそうです。

 営業利益1兆円への道を進む日立ですが、海外企業に目を向けると改革はもっとダイナミック。世界最大級の化学会社だった独ヘキストは個別事業の強化のため、90年代にフランスや米国企業とのM&Aを繰り返し10年足らずで「解体」してしまいました。米ダウ・ケミカルとデュポンは8兆円の巨大合併直後に3社分割を決めます。とても日本企業ができる芸当ではありません。

 今号の特集は「欧州企業のリストラ」。構造改革を大胆に進める企業には良否ともに学べるものがあります。誌上で、すばらしい世界旅行に出かけてみましょう。まずは欧州へ。

(東 昌樹)

日経ビジネス2019年5月27日号 9ページより目次