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 何のために働いているのだろう──。仕事を持つ人なら考えたことがあるでしょう。このテーマが話題になる時、私はダイエー創業者、中内㓛さんの言葉を思い出します。1999年1月の社長退任の記者会見。思い出を問われてこう答えます。「40年間、楽しいことは何もなかった」

 第2次大戦では軍曹として、玉砕覚悟で米軍と向き合うフィリピンへ。多くの仲間を目の前で失いました。極限のなかを幾度もの幸運に恵まれ生き残ります。平和を願う強い気持ちが、生活必需品が安心して買える社会を目指す流通革命の原動力となります。

 安売りを嫌った松下電器産業(現パナソニック)などの大メーカーと長年戦いながら、小売りで初の年間売上高1兆円を達成。一代で日本最大の流通グループを築き上げ、プロ球団ホークスやリクルートを救済しました。それでも「楽しいことはなかった」のです。