
10月25日、自民党の麻生太郎副総裁は、北海道小樽市での衆院選公認候補を応援する中で、「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」という趣旨の演説をキメてみせた。
意図は分かる。「一面的な災難に見える出来事の中にも、プラスの面はある」と言いたかったのだと思う。なんというのか「自分のような視野の広い人間には、ものごとの両面が見えているのだぞ」と、そんな観察をアピールしたわけだ。しかし、言い方がいかにもマズかった。例えとして「北海道のコメ」と「地球温暖化」を並べてみせたおかげで、結果的に、農業関係者による長年の品種改良への努力が小さく見えかねない。
仮に「禍福はあざなえる縄のごとし」といったあたりのことわざを紹介しつつ、起こっている出来事を広い視野で見直すことの大切さを訴えたのであれば、誤解を招くことはなかったはずだ。とはいえ、副総裁の持ち味は、一部に誤解を招きながらも、聴衆の笑いを誘うところにあるわけで、してみると、麻生さんとしては、不謹慎に聞こえるギリギリの線を狙っていかないと役割を果たしたことにならない。
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