(イラスト=小田嶋 隆)
(イラスト=小田嶋 隆)

 東京、大阪を含む4つの都府県に「緊急事態宣言」が発出されている……と、書きながら思い出したのだが、この「発出」なる用語は、2020年の4月に1回目の緊急事態宣言が出された時に初めて使われた行政用語だった。お国は「発令」という言葉の「強制的」なニュアンスを嫌ったのだろうというのが、当時の私の見立てだった。今回の緊急事態宣言では、菅義偉総理ご自身が、「人流を止める」という、さらに耳慣れない言葉を持ち出してきている。

 私は、なんとなく「まあ、人の流れということなのだろう」くらいに思って聞き流していたのだが、作家の平野啓一郎氏によれば、こんな日本語は存在しないのだそうだ。なるほど、辞書をひととおり参照してみたところ、「人流」なる用語が公式の文書の中で使われた前例は見当たらない。

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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「pie in the sky」~ 絵に描いた餅べーション」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。