(イラスト=小田嶋 隆)

 愛知県の選挙管理委員会によれば、同県の大村秀章知事へのリコール署名運動で提出されていた署名43万5000筆のうち約83%に不正の疑いが判明したのだそうだ。内訳は、無効が疑われる36万2000筆のうち、複数の人が何筆も書いた同一筆跡の署名が約90%、選挙人名簿にない人の署名が約48%、選挙人名簿にない人が集めた署名が約24%含まれていたのだという。

 ちなみに運動を主導したのは、美容外科「高須クリニック」を経営する高須克弥氏なのだが、一緒に街頭に立って署名を呼びかけたメンバーの中には現職の名古屋市長である河村たかし氏の名前も含まれている。

 リコール運動そのものは、民主主義の制度内で保障されている住民の基本的な権利だ。それはわかっている。ただ、署名の8割が虚偽だったということになると、これは公的な制度をハッキングした一種のテロ行為に近い。しかも、その極めて政治的な敵対運動に、現職の(しかも同じ県内の)市長がかかわっていたというのだから、これはもはや「陰謀」とでも呼ぶほかにどうしようもないではないか。

 しかし、さらにおそろしいのは、自分と相容れない考え方をそのまま「陰謀」と決めつけるタイプの政治手法が、いまや世界中で巨大な力を発揮しつつあることだ。

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