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(イラスト=小田嶋 隆)

 東京都の1日の新型コロナ感染者が500人を突破(534人)して、過去最高(11月19日現在)を記録した。われわれはすでに未体験ゾーンに足を踏み入れている。ここから先の話は、すべて手探りになる。で、菅義偉首相は記者会見で「静かなマスク会食」という奇策を打ち出してきた。

 いや、理屈は分かる。

 飲食店での会食時の会話と、いわゆる3密状態が重なって、感染が拡大している以上、我々は食事を口に運ぶやすぐマスクをして、できる限り会話も控えねばならない。そして、われわれ民草は、このとてつもない我慢を受け入れてしまうのだろうな、という予感に、憂鬱な気持ちになっている。

 重大な危機に際して、国民の自助努力に対策を丸投げするのは、我々の国のいってみれば伝統だ。貧寒たる装備と拙劣な作戦を、末端の兵卒の旺盛な戦意と、非戦闘員の竹槍で補い、なんなら竹槍を以て爆撃機すら撃ち落とさんとする裂帛の気迫こそが、われらの唯一の資源だった時代もあった。