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(イラスト=小田嶋 隆)

 ツイッター経由で世間を眺めていると、いつしか一定のバイアスのかかった情報だけを集めている仕儀に立ち至る。しかも、その「バイアス」は自分が設定した条件でもあるので、容易に客観視できない。結果として、ツイッター利用者は、自分の世界を、自分自身の手で狭めていくことになる。

 この間の事情は、アマゾンなり楽天なりで商品を探しているユーザーが、執拗なセールス攻勢に敗北するなりゆきと似ている。たとえば、一度でもキャンプ用品を検索すると、その後何年間か、やれガスバーナーだの、チタン製の焼き網だのといった偏頗な商品をおすすめされ続けることになる。これに抵抗するのはむずかしい。で、ある日、まるで必要のないトングのセットをポチっていたりするわけなのである。

 さて、私のタイムライン(ツイッターのメイン画面)に登場する芸能情報は、いつしか「エンタメ業界で起こっている出来事を鼻で笑うために好適な情報」だけを器用にピックアップするようになってきている。まことに、進化したSNSは、優秀な偏見固定装置以外のナニモノでもない。

 さて、そんな私の偏ったツイッターに、「女性自身」誌の記事が流れてきた。タイトルは「ピエール瀧の早すぎる復帰が波紋 音楽活動に需要はあるのか?」となっている。内容的には、瀧氏が、竹中直人、山田孝之、斎藤工の三氏の共同監督になる映画作品「ゾッキ」(2021年公開予定)への出演を契機に俳優業を再開する旨を公表したことを受けてのものだ。