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(イラスト=小田嶋 隆)

 3日ほど前から、ノイズ(雑音)に苦しんでいる。その高周波の電子音(音程はピアノの鍵盤で言えば一番右の方の音に近い)は、部屋の暖房を止めて耳を澄ませると、ようやく聞こえてくる微弱な音量で、1日中鳴り響いている。

 はじめは耳鳴りを疑ったのだが、ほかの部屋では聞こえない点から考えて、その線はない。というよりも、発生源はおおよそ目星がついている。音色と音量からして、何らかの電子的な部品を含むガジェット(腕時計とか、リモコンとか、観光地で買い求めたチープな玩具とか)が発する警告音(電池切れが近いとか、アラームの設定が狂っているとか)に決まっている。そういえば、10年ほど前にも、扇風機のリモコンだったかの電池切れ警告音を特定するのに半日ほどツブしたことがあった。

 問題は、ノイズが、どうやら、雑誌と書籍を積み上げてある一角のそのまた向こう側で鳴っていることだ。ということは、あのいまいましい悲鳴をあげ続けている謎の電子機器を見つけ出すためには、その前にまず、身長よりも高い雑誌の山と、その先にある書籍の詰まった段ボールの山を、とりあえずどこかに移動せねばならない。