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(イラスト=小田嶋 隆)

 11月下旬、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が来日した。38年前(1981年)に、ヨハネ・パウロ2世(当時は「法王」と呼んでいた)が、後楽園球場でミサを執り行った日のことは、はっきりと記憶している。

 ミサに参列していたのではない。当時、私は、後楽園球場にほど近いマンションの一室で仲間と小さな会社を経営していて、球場近辺は、言ってみれば「地元」だったのだ。

 ミサ当日の夕方、地下鉄丸ノ内線の後楽園駅に向かって歩く道すがら、なんとも不思議な人たちの集団とすれ違った。「不思議」というのは、球場から出て歩道橋を降りてくる年齢層も性別も服装もバラバラに見えるその人たちの顔が、輝いて見えたからだ。