一般の人々にはたいした事件に見えなくても、10年後に振り返った時に、重大な意味を持っているケースがある。
私は、わかりにくい話をしている。

つまり、事情を知らない人間にはごく小さく見える傷口が、時に、巨大な深淵に成長する矛盾の開口部だったことが判明することがある、てなことだ。
発端は、10月4日に新潮社の公式Twitterアカウントが、全身を金色に彩色(あるいは「金粉ショー」の含意かも)した作家・百田尚樹氏の画像とともに、「百田尚樹の最新小説『夏の騎士』をほめちぎる読書感想文を募集!」「百田先生を気持ちよくさせた20名の方に、ネットで使える1万円分の図書カードを贈呈!」という主旨のキャンペーン企画を告知したことだった。さらに同アカウントは、「国語の教科書にのせるべきだ」「そうか。この本と出会うために、僕は生まれてきたんだ」などの「例文」を投稿している。
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