「The Economist」「The Financial Times」など「日経ビジネス」が提携する海外メディアの記事を翻訳してお届けします。
シリーズ
世界鳥瞰

713回
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中国半導体、日本の規制は米国規制以上の打撃か
日本が予定する半導体製造装置の輸出規制は、米国の規制以上に中国の半導体業界に打撃を与える──。中国でこうした見方が浮上している。日本の規制は旧世代の半導体を製造する装置も対象になり得るからだ。中国半導体業界は、日本の措置…
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キッシンジャー氏、世界を語る「日本は核保有国に」
5月に100歳の誕生日を迎えたヘンリー・キッシンジャー氏に、英エコノミストがロングインタビューを行った。同氏は、米中関係の望ましいあり方など、現在と未来の世界情勢について長い経験に基づく知見を語った。ウクライナのNATO…
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ASEANを分断するミャンマー内戦
軍事政権の下、内戦状態にあるミャンマーへの対処法をめぐり、ASEAN諸国は足並みをそろえることができない。独裁政権であるタイや、カンボジア、ラオスなどは、独自にミャンマー軍事政権と外交協議をスタートさせている。一方、中国…
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スターリンク恐れる中国、宇宙覇権争いの火種に
中国人民解放軍が地球低軌道を使った米スペースXの衛星通信網「スターリンク」への警戒感をあらわにしている。台湾侵攻のハードルが上がるほか、低軌道を独占されることは、人民解放軍の近代化や情報化にも支障を来す。低軌道に目を向け…
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ハリウッド脚本家がAIを拒否する訳
ハリウッドの脚本家組合が待遇の改善を求めてストライキを行った。要求の中にAI使用の制限が含まれる。映画やドラマが放送から配信へと移行するのに伴い、現場では若い脚本家が経験を積む機会が失われてきた。AIはその問題を悪化させ…
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「一帯一路」離脱に悩むイタリア
イタリアのメローニ首相は、中国の「一帯一路」構想にイタリアが参加したのは間違いだったと主張してきた。米国やEUの圧力もあり、同政権は一帯一路からの離脱を望むが、中国との経済関係を悪化させたくはない。米国との同盟関係と、一…
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生成AI試す企業、実験は続く
ChatGPTなど生成AIの導入実験が各分野で進むが、企業はいまだ適切な使い方に確信を持てずにいる。定型文書作成や数字の処理、プログラミングなどで業務効率が上がるが、機密保持や信頼性への懸念もある。今のところ、生産性が上…
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インドに目を向けるアップル、それでも「中国との共生」は望ましい
米アップルは中国生産にリスクが生じているのを受け、他のアジア諸国、特にインドに目を向けている。人口で中国を上回り世界最大になりつつあるインドは、市場として、また将来の製造輸出拠点として有望だ。とはいえアップルはやはり中国…
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接戦続くトルコ大統領選
トルコの大統領・議会選挙が5月14日に迫る。野党連合はエルドアン現大統領に対する統一候補を擁立した。インフレが収まらず悪化するトルコ経済、そして地震対応の不手際で、エルドアン氏の支持基盤が揺らいでいる。それでも野党は国民…
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銀行破綻の後始末、政府はどこまで関与すべきか
「SVB騒動」はFRBの緊急融資枠発動で一旦落ち着いたが、預金保護のあり方に向けた議論はこれからだ。預金保護の上限設定を上げればいいとの意見もあるが、銀行に寛容な姿勢を示すと規律が乱れるリスクもある。デジタル通貨などの新…
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年金改革論争、スペインでも3条件の相克
スペインが年金改革を進めている。受給開始年齢の引き上げではなく保険料を上げる。政府は世代間の平等をうたうが、若い世代への不当な扱いだとする批判がある。前政権が決めた年金額の引き下げを現政権が撤回し、現受給者に保証を与えた…
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不足する銅、希望は革新技術
新興国の発展や脱炭素化、電化に伴い銅の需要が急増し、将来の供給不足が予想される。しかし新規の銅鉱山開発には時間とコストがかかる。既存鉱山の周辺を探るほうがまだ見込みがある。石油に起きたシェール革命のような技術革新にも期待…
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AI研究、企業主導の危うさ
AI研究の世界は、資金および人材が学術研究ではなく、商用研究に流れているとの調査結果が発表された。このままでは、企業が開発したAIを学術研究者が検証し、問題点を追究することが難しくなる。この不均衡な状況を、軍主導だった冷…
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UBSが着手する事業再編
世界の金融危機に発展しかねない、スイス金融大手クレディ・スイスの経営不安はUBSとの合併により回避された。クレディ・スイスのAT1債が無価値とされたため投資家の不安が広がったが、これはスイス特有の措置と捉えられる。買収後…
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米英豪が原子力潜水艦めぐる協力を具体化、AUKUSは西側同盟のモデル
米英豪が、AUKUS(オーカス)の枠組みの下でオーストラリアに原子力潜水艦を配備する計画を発表した。中国がアジア支配に乗り出すのを座視しないという重要な決意表明と言える。多くの重要技術分野で先行する中国に対抗するには、西…
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宿敵のイランとサウジを仲介、中東に手を伸ばす中国の思惑
中国は、イランとサウジの外交正常化を仲介し、中東地域で経済面以外でも役割を担う意欲を見せる。米国が関与を弱めたのを受けて中国が入り込むとの見方があるが、中国は米国の単純な代わりにはなれない。中国は、中東の国々と米国との関…
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米国で広がるEV工場の誘致合戦
全米の各州が、税控除や補助金などの優遇措置を相次いで打ち出し、EVや電池の工場誘致を争っている。米バイデン政権の新しい産業政策の柱となる「インフレ抑制法」も、EV関連投資を進める追い風となっている。損失を被ることがないよ…
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英離脱交渉、粘り腰で勝利勝ち取ったEU
英国のEU離脱で懸案として残っていた北アイルランドの国境管理問題をめぐり、解決に向けた合意がまとまった。表面的には双方の面目が立つ内容だったが、離脱交渉全体で見ると、最終的に目的を果たしたのはEU側だった。英離脱派が望ん…
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米中諜報戦、気球は氷山の一角
2月に米国で撃墜された気球は中国の監視装置であった可能性が高い。専門家は驚くにはあたらないと言う。米中は60年以上前から監視を巡り争ってきた。この10年は中国が能力を強化し、積極性を増している。一方、米国は中国での情報収…
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中国の対台湾工作のキーパーソン、星雲法師が死去
中国と台湾の双方に多くの信徒を持ち、仏教による中台統一を訴えていた「仏光山」の星雲法師が死去した。星雲法師を継ぐ存在はなく、その死は台湾住民の心を中国に引き寄せることがもはや無理であることを明確にした。中国共産党は中台統…
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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テスラが仕掛ける電池戦争
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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