シリーズ
世界鳥瞰

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テック企業に狙い定める習近平国家主席
中国アリババ傘下にあるフィンテック企業、アント・グループの上海・香港上場が直前になって突然延期された。ジャック・マー氏の当局批判が引き金と見られたが、習政権は企業管理の標的を民間のIT企業に定めたようだ。習氏は、ほぼ全国…
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投資家はインフレに注意せよ
ワクチン開発が進展したとのニュースを受け、景気回復局面を見据えた投資戦略を練り始める投資家が出始めた。インフレも意識され始め、カネ余りに依存した投資家の過度なリスク志向にブレーキがかかる効果も期待できる。FRBはインフレ…
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電気自動車シフトに気迫示すフォルクスワーゲンCEO
独フォルクスワーゲン(VW)は、電気自動車(EV)時代に向け懸命に改革を進める。グループCEOディース氏の前には、複雑な社内統治やソフトを巡るテック大手との戦いが立ちはだかる。だが同氏はEVで利益を上げる未来を見据え、V…
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苦境が続くインド不動産、未完成のマンションが数km並ぶ
インドの不動産業界が苦境にあえいでいる。2010年代前半は住宅バブルに沸いた。しかし、新たな規制やノンバンクの破綻を機にこれがはじけた。新型コロナ危機の影響で商業用不動産への打撃は大きい。だが、これを好機とみる投資家も現…
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雇用を重視し女性を救うカナダ流コロナ対策の妙
新型コロナウイルス感染拡大への対応でカナダが健闘している。州政府は州債を発行して、学校と医療機関の雇用を守った。それゆえ、女性たちは仕事に出て行けた。ただし、GDPの回復はそれほど速くない。雇用の確保は非生産的な仕事を存…
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非常時にも習近平氏の代わりはいない
中国で、従来なら次の最高責任者が固まる重要な会議が行われたが、候補者は選ばれなかった。これは、習近平氏が2022年以降も権力の座にとどまり続けることを意味する。次期トップも、次期首相も明確でない状況は、中国政治の未来を確…
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リラ安が生むトルコの対外強硬姿勢
トルコの通貨リラが史上最安値を更新した。心理的節目である1ドル=8リラも割り込んだ。政府はトルコ経済の競争力強化につながると強弁するが、輸入物価の上昇は国民生活を苦しいものにしている。エルドアン大統領が海外での紛争に積極…
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「ホテルでお仕事」はいかが
新型コロナ危機が収束しない中、ホテルが宿泊用の部屋を“仕事部屋”として貸し出し始めた。ただし、このサービスが定着するかどうかは未知数だ。都心の高級ホテルは高価だし、移動が必要。自宅に近いホテルでも孤独が募る。結局、自宅を…
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テスラがリチウム採掘に参入、その真の狙いとは
米テスラが米ネバダ州でリチウム鉱床を取得した。既存のリチウム生産者は、“得意先”の一変にさぞ驚いたことだろう。テスラの生産拡大計画が背景にある。テスラの真意は何か。既存生産者へのてこ入れ、中国に依存しない生産網づくりなど…
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中国市井の声、台湾との「問題は誰が強いかということ」
中国が、台湾の政権と市民に対する圧力を強めている。台湾の人々の心を引き寄せる人的交流の努力を進める半面、軍事的な脅しも続ける。中国の市民の間にも、台湾を力で圧倒できるとの意識が広がりつつあるようだ。
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まんざらでもないトランプ外交、カギは有権者が望むこと
トランプ政権の4年間を振り返ると、外交面では、その公約をかなり果たしている。トランプ外交は、悪党さながらにみなされることもあるが、その本質は有権者を代弁するものだ。トランプ大統領の再選は米国の民主主義にとって悲劇だが、従…
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中国の人権問題を看過するな
中国政府は新疆ウイグル自治区で、ウイグル族を強制的に漢民族に同化させる政策を進めている。イスラム教徒を強制収容所に拘束して習近平思想に「教化」し、ウイグル女性を漢民族と結婚させる。これは現代における最大の人権侵害であり、…
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巨大ITはメディアを救うべきか
グーグルが世界のニュースメディアに対し、コンテンツ使用料として計10億ドルを支払うと発表した。巨大IT企業がメディアを衰退させたとの批判に応える形を取ったが、メディアの苦境は今に始まった話ではない。新たな環境に適応するメ…
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欧州と米国、分かれるESG対応
11月の大統領選をバイデン氏が制すれば、米国と欧州のESG投資をめぐる温度差が解消されるとの見方がある。政治主導でグリーン投資規則を定める取り組みを進める欧州に対し、トランプ政権下の米国はESGに懐疑的だ。米国と欧州の「…
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コロナがロシアにもたらした偶然の産物、雇用の全国拡大
ロシアの企業が、新型コロナ禍を機に、採用の対象を全国に広げ始めた。ロシアは教育水準が高く、地方の都市にも優秀な人材がたくさんいるが、従来は生かせていなかった。規制緩和もこの動きを後押しする。転職に必要な書類のデジタル化が…
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イランと中国、戦略提携の裏側
イランと中国の間で「戦略的パートナーシップ」協定の話し合いが進む。米国の制裁に苦しむイラン経済にとり、中国の支援は命綱となる。だが中国側から見れば対米関係のほうが重要であり、イランは一つの駒にすぎない。
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英ジョンソン政権が抱くトランプ観は誤り
英国のジョンソン政権は、トランプ米大統領の再選を望んでいるようだ。同大統領は英国のEU離脱を支持し、新たな貿易協定にも前向きな姿勢を示してきた。しかし、同大統領が再選すれば、米国の政策に同調するよう強く求めるだろう。英政…
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「合村併居」に苦しむ中国の地方住民
中国の地方では、過疎化の進んだ集落を潰して農地化し、土地の利用効率向上を図る施策が進む。大都市への出稼ぎが30年にわたって続いてきたことが過疎化を促した。暴力を伴うこともある強引な進め方に批判が集まる。地方政府は姿勢を軟…
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欧州人が抱く米国観、羨望から同情へ
欧州に生まれた人々にとって、かつて米国は憧れの国だった。しかし、状況は変わりつつある。米国人も日々の暮らしにきゅうきゅうとしている。今の米国はかつてのアルゼンチンを思い起こさせる。移民の子孫が、祖父母の地への帰還を求める…
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新型コロナ危機の最中でも住宅価格上昇、広がる格差
新型コロナ危機で経済が停滞する中でも、住宅価格が上昇している。英国では過去最高のレベルに達した。金融緩和と政府のコロナ対策が原因だ。加えて、在宅勤務の増加と支出の減少が専門職層の購買を促す。この流れは当分変わりそうもない…