中国で1990年代初めから腐敗が広まったのは、鄧小平が始めた経済自由化がもたらした必然的な結果だ。 経済成長が生む富を共産党幹部が略奪してきた事実は共産党一党独裁と市場経済が両立しない証明だ。 習主席は腐敗が構造問題であり、腐敗摘発が共産党政権の永続にはつながらないことを理解すべきだ。

<b>習中国共産党総書記は今も腐敗撲滅に力を入れるが、中国共産党が法より上位に位置する以上、腐敗は構造的問題で撲滅は不可能だとの指摘も</b>(写真=新華社/アフロ)
習中国共産党総書記は今も腐敗撲滅に力を入れるが、中国共産党が法より上位に位置する以上、腐敗は構造的問題で撲滅は不可能だとの指摘も(写真=新華社/アフロ)

 2016年10月末に中国共産党が開いた第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で、「核心」という党内で別格の地位を与えられた習近平総書記(国家主席)──。彼には、2つの使命がある。

 一つは共産党から腐敗を根絶すること、もう一つは経済改革を推進することだ。

 だが習氏が腐敗した共産主義の一党独裁国家を浄化しつつ、かつ強化する試みを今後も続けようとしたら、この2つの目標は両立しないことが次第に判明するだろう。

次ページ 「縁故資本主義」が浸透