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「ヘッジファンドの帝王」の異名を持つ著名投資家、ジョージ・ソロス氏は、世界有数の慈善活動家でもある。利益のためなら冷徹な手も辞さないが博愛主義者という二面性は、ユダヤ人として迫害された過去が関係している。民主主義的秩序が揺らぐ今だからこそ、リベラルな価値観と開かれた社会の重要性を、ソロス氏は訴え続けている。

88歳になるジョージ・ソロス氏は今でも、世界で台頭するポピュリズムと戦い続けている(写真=ロイター/アフロ)

 持ち前の行動力、そして世界に向けられたリベラルな視点ゆえに、ジョージ・ソロス氏は日々、様々な批判にさらされている。だが、モロッコのマラケシュでインタビューに応じたソロス氏は、午後の日差しを浴びながら、不思議なくらい陽気な様子だった。

 ちょうど南アフリカから帰国したばかりだという。南アフリカは、1970年代末に同氏が慈善活動を開始した最初の国だ。この時彼は、アパルトヘイト(人種隔離)政策下にあった黒人の学生に資金援助を行った。今回は、自身が支援してきた調査メディアと市民団体の活動によって、ロシアと進める原子力発電所建設契約が破棄されたとの報告を受けたという。契約には、汚職があることが以前から噂されていた。

 「自分たちのやってきたことは正しかったと、非常に勇気づけられる知らせだった。我々は今でも、世界に有益な影響を及ぼし続けている」とソロス氏は語った。