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英国のメイ首相がEUとの間でとりまとめた離脱合意案は、英議会の承認を得られそうにない。一方、与党・保守党内の強硬離脱派は党首降ろしに打って出たが、失敗した。手詰まりが明らかになった今こそ、国民の意思を問う国民投票を改めて実施すべきだ。

EU離脱に反対する人々の運動も高まりを見せる(写真=AP/アフロ)

 万策尽きて提案を全面撤回する──英政府にとり、これが日常的なことになっている。テリーザ・メイ首相が欧州連合(EU)との間でとりまとめた離脱合意案について、英議会は12月11日、歴史的な採決を行う予定だった。だが前日になって、同首相は延期を決めた。閣僚たちにさえ、寝耳に水の決定だった。中には、テレビの生番組で、投票は間違いなく行われると語っているときに延期を聞かされた閣僚もいた。

 メイ首相は翌日、合意内容を改善すると約束してEU各国の歴訪に出発した。しかし、どの国も合意の変更を丁重に拒絶した。

 帰国したメイ首相を待っていたのは、与党・保守党が企てた、党首に対する不信任投票だった。同首相は不信任を免れたものの、次の総選挙までに党首を辞めると約束せざるを得なかった。不信任票は合計317のうち117に及んだ。