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英国が、これまで外交の柱に据えていた米国との同盟関係の見直しを検討している。しかしEUからの離脱を前に、欧州と米国という2本の柱を同時に失うわけにはいかない。ユーラシア大陸の覇権を狙う中国は欧州を取り込もうとしているが、米国に代わる役割は果たせない。

 英国の国家安全保障会議(NSC)の任務は、英国が直面する脅威を正しく把握することだ。イスラム主義者のテロ、ロシアの失地回復政策、戦火の絶えない中東、興隆するナショナリズム、核兵器の拡散、中国によるサイバー攻撃など、取り組むべき問題は多い。

 しかし先日、NSCのメンバーである上級閣僚と議員らはこうした従来の方針を変更した。これまで見過ごしてきたことが最も危険な問題だった場合の対処法を考え始めたのだ。

 英国の安全保障上の課題は、既知の敵の意図を把握することよりも、英国の最重要同盟国の意図を知ることにあるのではないか──。方針変更を決めた背景には、このような疑問が浮上したのも関係している。筆者の知る限り、この疑問に対する十分な答えはまだ出ていない。