他の欧州諸国が財政難にあえぐ中、ドイツ経済は好調で一人勝ちの状況にある。この「自国の繁栄」に対するこだわりが、連立協議決裂の背景にあると筆者はみる。極右政党や愛国主義者の台頭で議会の勢力図が一変し、これまでの政治のやり方が通用しなくなっている。

 自国の繁栄がもたらす耐え切れないほどの重圧によって、一国が崩壊するようなことがいまだかつてあっただろうか。部外者からすると、ドイツで連立政権をめぐる協議が決裂したのは、独善的で身勝手なものにしか見えない。

メルケル首相は求心力を失い、連立協議をまとめられずにいる(写真=AP/アフロ)

 欧州の他の国では、教育支出を削減したり年金支給を制限したり、政治家たちは国家財政の帳尻を合わせるのに必死だ。しかしドイツではアンゲラ・メルケル首相と連立候補のトップたちが、成果のない議論に1カ月を費やした。そして交渉は、経済的繁栄の果実をどのように分けるかでもめて、決裂した。

 メルケル氏が率いるキリスト教民主同盟(CDU)とその姉妹党であるキリスト教社会同盟(CSU)は、中道リベラルの自由民主党(FDP)および左派の緑の党との連立交渉を成功に導くことができなかった。