米国で議論が進む大型の法人減税。これが実現するとシンガポールが打撃を受けるかもしれない。脅威は米国の減税だけではない。香港とASEANとの間で成立したFTAもシンガポールを揺るがす。地盤沈下の懸念を解消する注目すべき取り組みがある。

バンコク支局 飯山 辰之介
2008年、日経BP社入社。製造業や流通業などを担当。13年、日本経済新聞に出向。15年に日経ビジネス編集部に復帰し、17年9月からバンコク支局長。
シンガポールを象徴するリゾート施設、マリーナ・ベイ・サンズ<br />(写真=ロイター/アフロ)
シンガポールを象徴するリゾート施設、マリーナ・ベイ・サンズ
(写真=ロイター/アフロ)

 米下院は11月中旬、連邦法人税率を35%から20%へ大幅に引き下げる減税法案を可決した。上院での議論が難航する可能性があるが、早ければ年内にも成立する。ドナルド・トランプ大統領の悲願であるこの減税が実現すると、その余波は太平洋を越え、東南アジアの都市国家シンガポールを直撃するかもしれない。

 同国は17%という低い法人税率を誘い水に、外国企業の東南アジア統括拠点を集積してきた。国外で得た収益や配当に対する税の優遇措置もあるため、統括拠点には内部留保が積み上がる。アジアの富を蓄えるハブとしての環境を整えることで成長してきた。

 だが米国で大型法人減税が実現すると、この「勝ちパターン」が崩れかねない。「シンガポールの高い人件費や賃料を負担してまで、米国企業がここに拠点を置き続けるメリットは薄れる」(現地アナリスト)からだ。

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