EUが2018年1月に施行する新金融規制によって、投資銀行のアナリストが冬の時代に突入する可能性が高い。新規制は、これまで不透明だった、アナリストが提供するサービスの対価を明示するよう求める。調査報告書などの費用が高額であることが明らかになり、顧客である運用会社が契約を見直す動きが相次いでいる。

ロンドン支局 蛯谷 敏
2000年、日経BP社に入社。本誌編集部で2006年から通信、ネット、金融、政治などを担当。日経ビジネスDigital編集長を経て2014年4月からロンドン支局長。
<span class="fontBold">EU加盟国が導入する新規制の余波は、世界の金融機関に広がる可能性が高い</span>(写真=AFP/アフロ)
EU加盟国が導入する新規制の余波は、世界の金融機関に広がる可能性が高い(写真=AFP/アフロ)

 「悪夢のような規制だ」。ある投資銀行で製薬業界を担当するアナリストが肩を落とす。この投資銀行は今年10月、アナリストが使える来年の調査予算を大幅に削減すると決めた。アナリストの減給も確実で、アシスタントの解雇も検討せざるを得ない状況にある。

 その原因は、欧州連合(EU)加盟国が2018年1月3日に施行する金融規制「MiFID 2(第2次金融商品市場指令)」にある。投資家保護が目的で、日本の金融商品取引法に相当する。

 様々な規制項目の中でアナリストを震撼させているのが、彼らが提供するサービスの費用を証券取引の執行手数料に含めて投資銀行が請求する「バンドリング」の禁止だ。

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