ロバート・スキデルスキー氏
英ワーウィック大学名誉教授。ケインズ研究の第一人者として知られる。著書は『なにがケインズを復活させたのか?』『じゅうぶん豊かで、貧しい社会』(共著)などがある。

トランプ米大統領が課す関税引き上げは、貿易戦争にエスカレートする危険を宿す。貿易戦争を避けつつ、米国の貿易赤字を一定額にとどめる“奥の手”がある。「補正自由貿易」だ。国民国家と民主主義、グローバル化を同時に実現できないトリレンマも克服できる。

<span class="fontBold">トランプ大統領が望む貿易赤字削減を実現しつつ、貿易戦争を防ぐ</span>(写真=AFP/アフロ)
トランプ大統領が望む貿易赤字削減を実現しつつ、貿易戦争を防ぐ(写真=AFP/アフロ)

 リベラルの立場を取るほぼすべての人々がグローバル化を支持し、経済ナショナリズムに反対する。グローバル化は現在の形のままでは、民主主義と危険なまでに相いれないことを示す証左がますます増えている。だが、彼らはこの事実を認めようとしない。

 米ハーバード大学教授のダニ・ロドリック氏は2011年に出版した『グローバリゼーション・パラドクス』の中で、国民国家、民主主義、グローバル化の3つを同時に実現することは不可能だと論じた。

 これらのうち2つは共存可能だが、3つを同時に追求することはできないと同教授はいう(同氏はこの状況を「トリレンマ」と呼ぶ)。世界中の「国家」が、民主主義の名においてグローバル化に抵抗してきた。

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