ダイソンが、同社初のEV(電気自動車)を生産する工場をシンガポールに置く決定を下した。同社を率いるダイソン氏はブレグジット支持派。ブレグジットがもたらす懸念に拍車をかける。その背景には、シンガポールに集積する技術と人材に加え、同社と英政府との微妙な関係があったようだ。

 英国の高級家電メーカー、ダイソンがEVの開発をひそかに進めている。この計画をとりまく謎の一つがこのたび解明された。同社は車両をシンガポールで生産する。同社はこの車を米テスラなど既存メーカーを脅かす存在に育てたいと願っている。

ダイソン氏はブレグジットを支持するが、EV製造工場の建設地として英国を選ばなかった(写真=Shutterstock/アフロ)

 一方で、この発表がさらなる疑問を呼んだ。ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)を支持するジェームズ・ダイソン氏が率いる企業がなぜ、初回生産の地に英国ではなくアジアを選んだのかだ。また同社は、例えばバッテリー技術などにおいて既存の自動車メーカーに太刀打ちできるだけの優位性を持つのか。

 生産地に関するさまざまな臆測が飛んだが、ダイソンは長年シンガポールを候補地として考えていたという。掃除機メーカーが自動車を開発するこの大胆な計画に関わった複数の人物がこう証言している。