イタリアの新政権が作成した予算案をEUの欧州委員会が差し戻した。国民が選んだ政府の決定を超国家的な組織がくつがえしたことになる。経済統合と国民国家と民主政治。3つを同時に満たすことはできない。決断を迫られる日が来るかもしれない。

 イタリアの作家パオロ・マンテガッツァは1897年に発表した小説『西暦3000年──夢』の中で、見事な予言を行った。想像上の未来の市民たちは、エアコンやクリーンエネルギー、クレジットカード、仮想現実の娯楽を享受する。欧州で大規模な戦争があり、その後平和が訪れて欧州は統合。単一の通貨を使うようになっている。

 マンテガッツァの想像力が今日の現実を超えている部分もある。小説が描く「欧州合州国」は模範的な民主主義的連邦制を敷く。コスモポリタンの性格を色濃く帯びる市民は、権力と合意を政府のレベルに円滑に受け渡す。政府はこの権力と合意を適切に運用する。基本的には地方分権だ。小説の語り手は「人と家族と共同体が自治を行っていれば、どれだけ容易かつ単純に統治できることか」と口にする。

 欧州合州国の首都はローマだ。小説が描く高邁な理想と今日の分断された欧州との間に存在する落差をすべて凝縮して見せる場として、これ以上にふさわしい都市はないだろう。